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不審者

その男は、開けにくいレセプションカウンター側のドアに手をかけた。そして、自分の身体が通れるくらいの幅のみを引き開け、忍びこんできた。見たことのない顔。身なりには、汚れも乱れもない。むしろH&Mのプレゼンテーションを受けたような好感度の高いスマートカジュアル。手には何やら印刷物を丸め持っている。その時私は、1人で来店した友人の成田たか子とその一部始終が見える席でおしゃべりを楽しんでいる真っ最中。横目で男を捉えつつ、おしゃべりを続けていた。男は私と目があったが、客の一人と思ったのだろう。ためらうこともなく、カウンターにぴったりと背中を寄せて立った。おそらくそこが奥からの「死角」と判断したに違いない。私の横目の中で、男が動かない。おかしい、と思い、立ち上がった。内側扉をスライドし、レセプションカウンターに張り付いている男に対峙、声をかけた。「いらっしゃいませ。店内をご利用ですか?あ、お待ち合わせかな?」男は何も答えず、すぐさまドアから外へとすり抜けた。奥から様子を見にきた店長・くどうに不審者である事を告げる。くどうが男を追って外に出る。戻ってきたくどうから「声をかけたが、去っていった」との報告。…レジ金を狙っていたのかもしれない。*エルラブのある美竹通りは、宮益坂上と宮下公園をつなぐ坂道。渋谷区役所の仮庁舎もあり、交番もあり、オカルト的な例えをするなら、宮と宮の中=宮中であり、四柱(結界)を見ることもできなくない。要するに私は、漠然と安全を信じていた呑気者。昨夜その油断を省みた。対策として、外から見た右のドアは24時間ロック。ランチタイムにもオープンはしない。くどう他男性スタッフによる、夜カフェの入口見回り。お客様とスタッフの安全は守らなければならない。*して、今年のカードは「塔」(タロット=オカルト)だという(アメリカからの輸入情報)。干支は申(去る)。神の瞬きの一瞬に何が起こるかわからない。くれぐれも、ご用心あれ。